それなりに社会人をやっていると、“初めて”に気づきにくくなってくる。
“初めて知った言葉”
“初めて聞いた音楽”
“初めてわかったこと”
いくらだって“初めて”はあふれているのに、ちょっと社会人が長くなると、気づきにくくなる。
“初めて”は喜ばしいこと。それを教えてくれたのは、僕よりも10も年上の友だちだった。
いや、教えてくれたというよりも、思い出させてくれたことのほうが近い。
僕が“初めて”に出会った話をすると、彼は言う。
「やったね、ひとつ成長した証だよ」
嬉しい、楽しい、貴重なこと。
それに出会えたことがもう喜ばしいことなんだと、彼は力説する。
それを聞いてから、ああ、なんて僕はもったいないことをしてきたんだろう……と思った。
本当に、心の底から。
だから、“初めて”を喜ぼおう。
知らない言葉に出会ったら、ああ今日も“初めて”があったと。
聞いたことのない音楽に出会ったら、ああ今日も“初めて”があったと。
むしろ、毎日には“初めて”しかない。
大人になると、ときが過ぎるのが早く感じるとよく聞く。
きっと、それは“初めて”を見過ごすことが多くなったからだ。
そのひとつひとつを汲み取ることができれば、時間はもっともっと長くなる。
早すぎる時間の流れに憂うこともなくなるだろう。