夏の寂しさ

夏が終わろうとしている

聞こえてくる鳴き声がセミからコオロギに変わった
寝るときにかけるものがタオルケットから毛布に変わった
毎日つけていたエアコンをつけなくなった
お風呂の温度を少し高くした

でも、まだ多分、夏を満喫していない
毎年そうだけれど、いつも夏を堪能していない

夏はいつだってそう
もっと長くいたいのに、夏はすぐに離れてく

ただ、夏からすれば、夏はずっと夏のままだ

夏は変わらずそこにいる

むしろ離れていくのは僕のほうだろう
僕が6月か7月かに勝手にやってきて、9月だか10月だかに勝手に去っていく

堪能していない??
何を勝手なことを言って…!
あなたはいつだってそう

過ぎ去る寂しさは、きっと夏のほうが感じているのだ
ひぐらしの鳴き声は、別れに耐えきれない夏の鳴き声なのかもしれない
残暑の厳しさは、離れようとする僕の腕を、夏が強く引っ張っているからなのかもしれない

ごめんよ、夏
僕が悪かった

まだそばにいるから
まだまだ半袖で遊ぶから

許してほしい

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