何も知らない分野に触れるとき、僕は真っ先に新書を手に取る。

知らない知識を得たいときや、新しい分野に踏み込んでみたいとき、関連する新書を読むのがいい。

新書はわかりやすいものが多いし、コンパクトだからとっつきやすい。
初心者にはうってつけな要素がそろっている。

でも、新書はちょっと……という話をたまに聞く。
友人も何か中途半端な感じがするから、と言っていた。
(そしてたぶん、友人は直接言っていなかったが、それが格好悪いから、という理由もあると思う)

まあ、そういう理由で避けるのもわかる。

だけれど、新書を一冊読み通すと、これまで知らなかった用語とその意味が整理できる。

それによって、

「この用語はどの場面で使われるのか」
「この用語とこの用語は直接関係があるのか、ないのか」

が見えてくる。

何もなかったところに、どんどん知識が、正しく配置されていく。
さながら頭の中に、新しい地図ができるように。

一度作った用語の地図は、強い武器だ。

たとえば、用語の地図を作ると、書店の棚の見え方が明らかに変わる。

タイトルを見て、その本が何のことを言っているのか、ざっくりとわかってくるようになる。
また自分が何を知らないのかも、わかるようにもなる。

それから関連する知識も効率よく覚えられるので、その分野に大して加速的に詳しくなる。
挑戦したかった分厚い文庫本やハードカバーの本が、とてもスムーズに読めるようになるだろう。

その知識を求める人や、場合によってはお金を出してくれる人とも出会えるかもしれない。

だから、何も知らない分野に触れるとき、僕は真っ先に新書を手に取る。

あと、コンパクトだからといって、内容が薄っぺらいとか労力をかけて書かれていないとか、そんなわけは決してないことも強く言いたい。

それは、今Web記事の制作に関わるようになって、すごく思う。

Web記事の制作では(メディアのコンセプトにもよるけれど)、

いかに必要な情報をわかりやすく提供できるか
何も知らない人に最後まで読んでもらうようにできるか
途中で飽きさせないようにできるか

これがすごく重要で、だけれど実現にはかなりの労力がかかる。

一概に比べることはできないけれど、新書にもそんな努力が詰め込まれているはずだ。

何が言いたいのかというと、新書は別に分厚い文庫やハードカバー本に劣っているとか、そういう話はお門違いだということである。
新書にも信念がある。

だから、新書を変な目で見ずに、手にとってみてほしい。
語れることの幅が、思っているよりも広がるはずだから。

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